アニメ

「とあるシリーズ」一方通行というキャラクター

313

「とあるシリーズ」一方通行の考察

今回は「とある魔術の禁書目録(インデックス)」、一方通行(アクセラレータ)の魅力について考察したいと思います。

基本的には人物像のどこが作品の魅力に繋がっているのかを考察していこうと思うので、能力の詳細や秘めたる能力といった深掘りはしない形の考察です。

ヒーローの1人

一方通行は作中における、「過去に大きな過ちを犯し、その罪に苦悩しながらも正しい道を歩もうとする者」に該当するヒーローという位置づけになります。過去の大きな過ちとは、言わずもがな「妹達」のことです。そして作中で最もメンタルが成長するキャラクターの1人です。

登場当初は極悪非道な男として捉えられがち(妹達に手をかけてしまっているので全否定は出来ないわけですが・・・)ですが、実際は少し違います。私が思う一方通行は、自分の大切なもの以外に極悪非道だという点です。
幼少期に周囲の人間を能力で傷つけてしまったことにより、人間に対して消極的になり、「自分のたいせつなもの=自分自身のみ」となっていた一方通行ですが、上条当麻に敗れた後、打ち止め(ラストオーダー)を救出する過程で、打ち止めは彼にとっての「光の世界の象徴」にして最も大切な存在となります。この打ち止め(そして他の妹達)の世界を守り抜くことが自分の過去の過ちの贖罪だと位置付け、「自分の大切なもの=妹達、そして自分」という心境の変化が起こったものだと考えられます。
その為、彼女たちの世界を揺るがしかねない出来事に対して、命懸けで闘う行動を取っています。上記ことから、自分にとって大切なものなのだから、絶対に守り抜くという考えになるのは至極自然な流れであると思います。

制限有りの学園都市最強の能力者

有する能力は「一歩通行(アクセラレータ)」。
能力名がそのまま名前になっている一方通行ですが、登場当初は制限無しの完全なる学園都市最強の能力者でした。しかし、打ち止め救出時に天井亜雄によって銃弾で脳に傷を負わされたことで、能力を自力で使用出来なくなり、現在では妹達による「ミサカネットワーク」が代理演算する形で補完しています。日常生活を送る分には代理演算を行うチョーカー型の充電は約48時間は持つが、能力を使用する分には約15分しか充電が持たないというハンデを負っています。
また、「天使の力に酷似している何か」が発動することもあり、当初は自制不可能でしたが、メンタルの成長に合わせて力を制御することが可能となっているようです。

私は一方通行という人物を考察するうえで、「銃弾で脳に傷を負わされたこと」にはとても深い意味があると思っています。

一方通行の人物像

これは私の予想や、こうであって欲しいという願望も入っているため、不快な方には申し訳ないです。

私は一方通行という人間はかなり現実の人間に近い性格をしていると思っています。

10031人もの妹達をあらゆる方法で惨殺してきた一方通行ですが、その行為に、確かな後悔が存在します。

「ミサカ達はアナタのサインに気づけなかった、たったの一度も気づいてあげることができなかった、ってミサカはミサカは後悔してみる。でも、もし、仮に。あの時、ミサカが戦いたくないって言ったら?ってミサカは終わった選択肢について語ってみる」

・・・(中略)・・・

きっと、彼はそれを望んでいた。
だからこそ、彼は問いを発した。何度も、何度も。それでも答えは返ってこないから、少しずつ問いはエスカレートしていって、いつしか目を覆うほどの暴虐の嵐となってしまった。
自分を止めてくれる誰かが欲しかった。
立ち上がるための何かが欲しかった。

引用:とある魔術の禁書目録(5)(電撃文庫)

また、一方で条当麻と最初に対峙した際、上条当麻に殴られ、妹達だって必死に生きていると言われた時には心でこう思っています。

生き・・・てる?
何言ってンだァ?
アイツら・・・人形だろ?
そう言ってたじゃねェか。

引用:アニメ「とある科学の超電磁砲(レールガン)S」

アイツらとは妹達、そしてそう言っていたのは研究者たちのことを指すと思われます。

自分のやっていることは悪いこと、誰かに止めてほしいと思うものの、そのきっかけは無かった。でも研究している人たちは「この人間に見えるものはそう見えるだけで実際はただの人形だよ」って言っているからこれはただの人形を壊してるだけなんだ。それで自分が最強から無敵に変わることが出来るのなら、やるべきなんだ。

このように考えてみると一歩通行がかなり人間くさい一面を持っていることがわかります。

また、様々な要因により著しく成長した後も、「自分の大切なもの=妹達、そして自分」という心境の変化が起こった後からの本質は変わっていません。

「理由なンかねェよ」

・・・(中略)・・・

「殺しても殺さなくても良いンなら、俺は『とりあえず』そいつを殺すぞ」

・・・(中略)・・・

「・・・・・・それで確実に、絶対に、安心して、あのガキどもの安全を保てるってンなら、『とりあえず』で殺しておくべきだ。」

引用:新約 とある魔術の禁書目録(10)(電撃文庫)

ここでも「自分の周りの大切以外の者はどうでもいい」という、ある意味では人間の本質に近い発言をしています。

 

まとめると、
「悪いと思っていることをやってしまったが、止めてくれる人もいなかった」
→そんな言い訳に逃げていたが自分はれっきとした当事者であり加害者である。その贖罪は行うし、一生をかけて守っていく。
「自分の大切なものは命をかけて守る
→周りの大切な人に影響の出ない事柄に関しては知らんわそんなもん。

一方通行の魅力とは、この「科学の街である学園都市で最強と謳われる能力者なのに、考え方は一般の人間と同じ」によるものだと私は思います。

 

「新約(10)」ではちょっとしか出てこず、「新約(11)はみさきちの巻」ということもあり、なんか出番がこれから少し無さそうな予感はしますが、要所要所では必ず登場する存在なだけに、今後の動向も楽しみです。